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長期間成長を続ける会社のIRの特徴

株式会社Mutual 公式note

とある週末外を散歩散歩しているとき、ふと思い立ってTwitterでこんなつぶやきをしてみました。

すると予想外の反響があり、「あ、これはちゃんとやらなヤバい(汗)」という強烈な義務感が私に襲いかかってきたので、この記事を書くに至っております。

IRがイケてる→伸びるという因果関係は成立しない

まず、先立って触れておきたいのが、IRがイケてる→長期で伸びるという因果関係が成立するわけではないという点です。
あくまで、事業が長期で伸びている会社がイケてるIRを行なっている場合が多いのであって、両者は相関関係があるにすぎません。そのため、IR資料の見せ方がうまい会社→長期間伸びる会社だとは言えないと考えられます。

しかし一方で、会社は投資家から自社を不当に過小評価してほしくはないので、「私たちの会社はこうやって成長するんですよ!!」ということを可能な限り知ってほしいと思っているはず。
つまり、多くの会社はなるべく知恵を絞って、IR資料に自社がいかに成長するかのストーリーを記載しているはずなのです。

ほんなら、長期間業績と株価が伸び続けている会社が昔からIR資料でアピールしていた内容って、会社が長期で成長するにあたって重要なファクターなんちゃう!?

そんなことを思いました。
少なくとも、長期で成長している複数の会社の過去のIR資料から何らかの共通項や特徴を見出すことができれば、今後様々な会社のIR資料を用いて成長企業を発掘する際にも何か役立つのかもしれません。

ということで、長期間業績と株価が伸び続けている会社の過去のIR資料を振り返って色々見てみました。どれだけ役立つかは分かりませんが、自分なりに調べてみた結果をここでまとめてみたいと思います。
ちなみに、サンプルとして調べた会社は以下のとおり。いずれも長期間にわたって増収増益を続けている会社です。(こんな会社を初期の段階で見つけられるようになりたい。。)

・エムスリー
・PPIH(旧ドンキホーテ)
・キーエンス
・ニトリ
・ZOZO
・カカクコム
・MonotaRO
・エス・エム・エス
・ツルハホールディングス
・GMOペイメントゲートウェイ

市場の大きさ・潜在的な伸びを示している

そもそも会社が長期間成長するためには、属している事業領域の市場規模が既に大きい、もしくはこれから拡大していく余地がある必要があります。市場規模が小さいなかでどれだけシェアをとっても、やがて売上規模が上限に達してしまうため、成長は限定的になってしまいます。

この点、長期間伸び続けている会社はやはり総じて大きな市場に属している、もしくはこれから伸びていく市場に張っているということが分かりました。

例えば、「MR君」という、製薬会社が医師に対して医薬品をプロモーションするサービスを祖業としている「エムスリー」は、2006年1月のプレゼンテーション資料で、各製薬会社等が医薬品の営業コストにどれくらいお金をかけているかを表示しています。

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つまり、業界全体でMRへの営業コストが1兆円以上落ちているので、そこにネットで入り込んでリアルのMRと代替することができれば、大きく収益を稼得することができるということです。

その他にも、まだ顕在化していないものの、今後大きくなるであろう市場にポジショニングしていることをアピールしていた会社はいくつかあります。
例えば、決済事業を国内外で展開するGMOペイメントゲートウェイは、超シンプルに言うとクレジットカードの利用量が伸びれば収益も伸びることになりますが、2010年9月期の年次報告書で、ECの拡張とともにクレジットカードの市場が今後さらに拡大していくことをアピールしていました。

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規模が大きい市場、潜在的に伸びゆく市場で勝負している会社は、その分これから成長していく余地があると考えられます。逆に、市場が小さかったり今後縮小していくことが予想されている場合は、どうしても成長は限定的になりがちです。

そのため、IR資料で市場の大きさや拡張可能性についての情報が開示されていたら、まずはその情報の事業との関連性や、市場全体が本当に拡張するのかどうかについて検討すべきだと言えるでしょう。

明確な成長戦略を打ち出している

ところで、いくら市場が大きかったり、今後拡張していくことが見込まれていたとしても、会社がそれに合わせて成長することができなければ意味がありません。
この点、長期間成長している会社の多くは、明確な自社の成長戦略をIR資料で打ち出していました。

例えばエムスリーの場合、先ほどのプレゼンテーション資料を見ると、自社の成長を3つに分類して、それぞれにおける成長戦略を具体的に記載する、という流れで資料を展開しています。

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超シンプルですが、どのように自社を成長させていこうと考えているかは明快です。

また、16期連続で増収増益を達成しているSMSも、2015年3月期の決算説明資料で、自社の成長を①キャリア、②カイポケ(SMSのサービス)、③新規事業に分類し、それぞれの成長戦略を記載しています。

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工具通販最大手のMonotaROも、2010年12月期の年次報告書を見ると、自社の今後の成長戦略を①新規顧客の大量獲得と②既存顧客のリピーター化と明示しています。

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クラウドで膨大な顧客のデータを処理してユーザーひとりひとりに適切な商品をリコメンドするということを、10年前からやっていたのですね。
MonotaROの取り扱う工具、自動車部品、事務用品等の間接資材は、購入頻度や単価が低い一方で購入点数がかなり多いため、購入者側からすると商品選びにかかる手間と時間が問題になっていたそうです。そこをクラウドを用いて解決することで付加価値をつけて、スケールすることを狙っていたことが分かります。(長年蓄積してきた顧客データがないと資本力があってもなかなか同じ満足度のサービスを作るのは難しいから、そりゃアマゾンが入ってこないわけだ・・・)

なんだかんだ右肩上がりのグラフが多い

なんやそれ、しょーもな。と思われるかもしれませんが(笑)長期間でずっと伸び続けている会社の10年前のIR資料を改めて見返してみると、10年前の時点でも既に業績が右肩上がりとなっているケースが驚くほど散見されました。
すこし、各社の右肩上がりのグラフを貼っていきます。

エムスリー:2009年4月会社説明資料

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カカクコム:2005年3月期決算説明資料

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GMOペイメントゲートウェイ:2012年9月期決算説明会資料

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MonotaRO:2010年12月期決算説明資料

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ニトリ:2015年2月期決算説明資料

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売上高が継続的に伸びているのは、事業に対する需要が旺盛であることや、オペレーションが磨き込まれていること、積極的に成長投資を行なっていること等様々な要因が考えられますが、少なくとも売上の伸びが一過性のもので終わっていないということは何らかの強みがあると言えます。
そのため、なんだかんだ言って過去5〜10年で伸び続けている会社は、その後の10年間も伸びやすいという傾向があるのかもしれません。
ちなみに、売上高の伸びも、倍々とかで成長するのではなく、寧ろ20%〜30%の成長率で安定的に増加し続けているという特徴もありそうでした。

「種まき」を怠っていない

既存事業に需要がマッチすると、売上高は大きく伸びます。しかし一方で、ひとつの事業だけが当たって売上高が大きく伸びたとしても、その事業の成長もいつかは終わります。もしかすると数年しかもたないかもしれません。

この点、長期間伸び続けている会社のIR資料を見ていてつくづく思ったのですが、各社総じて種まきを怠っていないのです。つまり、ある事業で儲かっているときも、その事業から生み出されるキャッシュを元手に、新規事業、M&A等へ積極的に投資を行なっている場合が多いということです。

エムスリーの2007年3月期の決算説明資料を見ると、まさに種まきを象徴するような図が掲載されていました。

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MR君等の既に花が開いている事業だけで満足するのではなく、キャリア事業やネット調査サービス等どんどん種まきを行なっていました。その結果、蒔いた種が長期間かけて花を開き、エムスリー全体の業績に大きな貢献をしています。

また、小売店舗を展開するニトリやPPIH(旧ドンキホーテ)も、過去継続して「儲かったカネは、新規出店へ投じる」ということをやってきています。
両社のキャッシュフロー計算書を見れば分かりますが、この2社は、過去継続して儲かった金のほとんどを店舗投資に振り向けていたことが分かります。

もちろん、種まきを行なったからといって必ずしもそれが花開くとは限りませんし、種まきを行わずとも既存事業という花が継続的に大きくなっていくことはあります。
しかし、長期で伸び続ける会社は、既存事業の周辺領域で様々な新規事業を立ち上げたりM&Aを行なうことで種まきを怠っていない傾向にあると言えるでしょう。

まとめ

なんか、書きながらとりとめもない内容になってしまった感が否めないとは思いつつ、、「IR」という視点から長期間増収増益を続けている会社の特徴をまとめると、大体以下のようになるのではと思います。

・市場規模の大きさないしは拡張可能性について開示している
・明確な成長戦略が打ち出されている
・10年前の時点でも、なんだかんだ過去継続して売上は伸び続けている
・新規事業やM&A等の種まきを怠っていない

もちろん、これを知ったからといって長期間伸びる会社が見つけられるわけではないでしょうんし、他にもピックアップできていない特徴は色々あるでしょう(例えば役員構成や、オーナー経営者の経歴・性格、従業員の平均年収等)。
とはいえ銘柄発掘にあたって何らかの参考になるかもしれないので、自分も本記事で取り上げた視点を交えながら、次なる成長企業を発掘したいと思います。

ちなみに、超成長企業であり、今や国内時価総額ランキング3位を誇るキーエンスは、決算説明資料や統合報告書等を全く開示していないことが分かり、結構驚きました(英語版のアニュアルレポートはありますが)。
「IRで色々アピールなんかせずとも、数字で示せばいいのだ」と言わんばかり・・・
どちらが正しいのかは分かりませんが、非財務情報の開示の充実が謳われる昨今の世の中で、キーエンスがこのスタンスを貫き通すのか、それともなんらかの情報を開示していくのかはちょっと興味深いですね笑

本日もお読みいただきありがとうございました!!

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